|
(1)染色体
「あなたは、お母さん(お父さん)によく似ていますね。」などという言葉は、日常良く耳にすることと思います。このように、親に良く似た子供ができることを遺伝といいます。つまり、親の形質が子供へと受け継がれていくことが遺伝ということであり、この遺伝の情報を伝えるものが遺伝子なのです。この遺伝子は、細胞内の染色体上に存在しています。染色体は、両親からそれぞれ1個ずつ受け継がれ2個で1ペアという形で一定数存在しています。この一定数の染色体数は生物により異なっており、例えば人は23対の46本、ニワトリは39対78本となっているようです。この染色体には常染色体と呼ばれるものと性染色体と呼ばれるものがあります。通常、常染色体が複数あって、その最後に性染色体が1対存在しています。この、性染色体上に遺伝子が存在し、オスかメスかで発現するかどうかが決まることを伴性遺伝といいます。鳥類の場合の性染色体は、オスを「ZZ」めすを「ZW」で表わすのが通常です。この場合、遺伝子の情報は「Z」のみに存在し、「W」には遺伝子情報がなく何も存在しないということになります。つまり、常染色体上ではオスメス共にそれぞれの両親から1個ずつ受け継いだ2個の遺伝情報を持つことができることに対して、性染色体上では、オスは2個の遺伝情報、メスは1個の遺伝情報しか持てないということになります。従って、常染色体上での遺伝なのか性染色体上での遺伝なのかによって変わってきます。 |
(2)優性遺伝子と劣性遺伝子
遺伝子の組み合わせを遺伝子型、表に現れる特徴を表現型と言います。例えば、赤頭ノーマルコキンチョウを見てみましょう。
ここでは、紫の胸と白の胸の遺伝を例にとって考えてみます。
まず、それぞれの両親から紫色の遺伝子を1個ずつもらった場合は、当然、写真のように紫色になります。ところが、両親から紫の遺伝子を1個、白の遺伝子を1個もらった場合はどうなるのでしょうか。単純に考えると紫が薄くなるような気がしますが、そうではありません。この場合も、表現型(外見)は写真のような紫の胸になります。この場合、紫の遺伝子を優性遺伝子、白の遺伝子を劣性遺伝子と言い、その記号は、前者は大文字で後者は小文字で通常示されます。この紫胸のように表に現れる形質を優性、現れない形質を劣性と言います。つまり、紫色をP(Purple)とし白色(White)をWという記号を使用して考えてみると、PPという遺伝子の持ち方でも、Pwという遺伝子の持ち方でも、外見は紫胸になるということになります。なぜなら、白色より紫色の方が強いのでその形質が表に現れてくるからです。ちなみに、Pwの持ち方の時には、白色のスプリットを持っているといいます。 |
従って、遺伝を考える時は、優性、劣性も知っておかなければなりません。では、左の写真のように白胸として発現するにはどういう遺伝子の持ち方であれば、白胸として発現するのでしょうか?そうです。オス親からもメス親からも白胸の遺伝子を1個ずつもらわなければ白胸として発現しないということになります。つまり、wwという遺伝子の持ち方であれば白胸として発現します。以上のことを、頭に入れながら実際に頭や胸、体の色の遺伝を考えていきましょう。 |
主な参考文献
遺伝のしくみ 新星出版社
「A Guide to... Gouldian Finches AND THEIR MUTATIONS (REVISED EDITION) 」ABK Publications
「Gouldian Finches」Barron's Educational Series,Inc.
web等
★鳥たちが驚かないようにフラシュレスで自然の姿を撮影しております。お見苦しい点が多くございますがご了承ください。
|
|
|